■自家製酵母と全粒粉、長時間発酵の力で。
(文・片山静香/スロウ88号掲載)
発酵という自然の作用が身体にとってうれしい働きをしてくれるということは、今や誰もが知るところです。しかし、この文脈で言われる「発酵」と、パンづくりにおける発酵」がどちらも同じ原理であるということは、なぜだか頭の中で結びついていませんでした。そのことに気づかせてくれたのは、長沼町のベーカリー、いしかわぱんの石川尚弥さん。石川さんが作るパンは、ほぼすべてに全粒粉が使われています。
小麦は十勝産の有機栽培、千歳産や長沼産の自然栽培のものを。自身でレンガを積んで造った薪窯で、大きなカンパーニュをメインに焼いています。「じっくり発酵させることで、グルテンが分解されて甘みやうま味が引き出されると共に、消化しやすくなるというメリットもあるんですよ」。そう話してくれた石川さん。全粒粉を使い、自家製の酵母で長時間発酵させることでグルテンが分解され、胃腸など、体に優しいパンになるのだそうです。妻の唯可さんも「うちのパンを食べると、お腹の調子が良くなるからと言ってくれるお客さまもいるんですよ」とうれしそうに話してくれました。
写真上/使っている素材は、小麦のほか、具材に使うフルーツやナッツなども含めて有機栽培のものが中心。「有機栽培を選ぶことで少しでも生産者さんの応援になれば。ずっと作り続けてもらいたいですね」。焼き菓子もほとんどが全粒粉を使い、長時間発酵で作られています。重曹やベーキングパウダーなどは一切使わず、酵母の力で焼き上げています。
■薪窯パンのおいしさに衝撃を受けて。
いしかわぱんがオープンしたのは、2021年のこと。函館出身の石川さんは、ベーカリー勤務を経て、札幌で料理人として働いていたときに唯可さんと結婚。パン屋として独立する場所を探し、縁あって長沼町へやって来ました。「初めはソフト系のパン、惣菜パンなどを作るパン屋をやろうと思っていたんです」と、石川さん。しかし開業の数年前に、先輩職人の店で薪窯で焼いたカンパーニュを食べ、そのおいしさに衝撃を受けたのだそう。さらに、店をやる場所として偶然出合えた土地が、薪窯を造れる環境だったことも後押しとなりました。
薪窯パンの店を始めると決めてからは、試行錯誤の日々。パン職人や料理人としての経験はあったものの、カンパーニュや薪窯の技術についてはほぼ独学。前述の先輩のところで作業を見せてもらい、自分の窯で試行錯誤を繰り返し、オープンに漕ぎ着けました。
■毎日食べても飽きない「日々のパン」を。
全粒粉を使ったパンづくりは、「難しい、扱いづらい」と言われることが多くあります。しかし石川さんは、そのおいしさや素材の確かさを知っていたから、初めから全粒粉を使うと決めていたそうです。だから、「これしか知らないから、これが普通」と飄々とした様子。石川さんが作るパンのラインアップはごくごくシンプル。プ焼き菓子もほとんどが全粒粉を使い、長時間発酵で作られています。重曹やベーキングパウダーなどは一切使わず、酵母の力で焼き上げています。
写真上/スライスしたいちじくくるみのカンパーニュに、クリームチーズをたっぷりと、生ハム、ハチミツ、黒コショウを一振り。甘みと塩気のバランスが最高です。お酒と一緒に味わうのもおすすめ。
プレーンなカンパーニュに、イチジクやクルミを入れたもの、スパイスを入れたもの、そして古代小麦を使ったもの…。ときには食パンや焼き菓子類を作ることもありますが、あくまでカンパーニュをベースにメニュー展開しているのは、石川さん自身が「日々食べるパンが好き」だから。惣菜パンやデニッシュなどの菓子パンもおいしいけれど、毎日食べ続けると飽きてしまいます。いろいろな料理に合わせられて、身体にも優しい全粒粉のカンパーニュなら、飽きずに毎日でも食べてもらえる。そんな思いから、オープン以来ずっとこのスタイルで営業を続けてきました。
■パンとそれにまつわるたくさんの仕事。
取材の日、午前3時から始まったという仕込みが終盤を迎える頃。しっかりと温まった薪窯の前で作業をする石川さんの姿がありました。薪窯は温度調節を自由にすることができません。1度焚いたらそこから先は下がり続ける温度帯に合わせて適切な種類のパンを焼くのみ。まずは高温で焼く必要のあるカンパーニュから。焼いている間に、明日のためのパン生地の仕込みを並行して進めます。
ピピピとタイマーが鳴ったら窯の窓を開け、長いピール(ヘラのような道具)を使ってパンの様子を確認。長時間発酵の力を借りて焼きあがったカンパーニュはふっくらと膨らみつつどっしりと重量感も。パンの底面をコンコンッと指で軽く叩いて焼き具合を確認してから、一つひとつ棚に並べます。その後は続けて食パン、パウンドケーキ、スコーンと、窯の温度に合わせて順々に種類の異なるパンを焼いていきます。
焼き上がったパンは唯可さんが店頭に並べ、店のオープン準備。店を開くのは、主に金・土曜などの週末のみ。それ以外の日は薪割りや仕入れ、仕込みなどをして過ごしているそうです。「薪割りや窯焚きなど、パンを焼くための周辺にある仕事も多いので、確かに手間はかかると思います。実際、お店を始めてみて想像以上に大変だと実感しました」と、石川さん。でも仕上がるパンの味について尋ねてみると、「薪窯は全然違う。本当においしい」と力が込もります。
写真上/店頭では稀に長沼町で採れる野菜をたっぷり使ったサンドイッチを提供することも。「農家さんがどれだけの思いを込めて作っているかを間近で目にし、感動させられっぱなしで。移住後に地域の方に本当にたくさん助けていただいたので、同じように周りにも手渡していけるようになりたい」と話してくれました。
普段は長沼町の店舗や近郊で開催されるイベントでしか出合うことのできない石川さんのパン。今回特別に、そのパンの味をたっぷり楽しめるセットを用意してもらいました。いしかわぱんの基本の「き」とも言えるプレーンなカンパーニュのほか、2種類の具入りカンパーニュ、そしてターキーレッドという古代小麦を使った珍しいパンも。「届いてからも少しずつ味わいが変わるので、それも含めて楽しんで」と、唯可さん。毎日食べても飽きなくて、お腹にもうれしい、石川さんのパンです。
■商品紹介
■作り手 いしかわぱん(長沼町)
石川尚弥さん、唯可さん夫妻が営む小さな町のパン屋。子どもの頃、母と一緒にパンを作っていた記憶があるという石川さん。パンが大好きで、家族でほかのベーカリーに出かけることもあるのだそう。「ハード系も、ふわふわのパンも、どっちもおいしいですよね」と唯可さん。
■商品詳細
賞味期限: 製造より冷蔵で5日間
原材料:
カンパーニュ/有機小麦、水、塩、自家製酵母
いちじくくるみのカンパーニュ/有機小麦、水、塩、自家製酵母、有機いちじく、有機くるみ
山食ぱん/有機小麦、小麦、はちみつ、素焚糖、牛乳、塩、自家製酵母
スパイスカンパーニュ/有機小麦、水、塩、自家製酵母、ミックススパイス
ターキーレッドのぱん(古代小麦のぱん)/自然栽培ターキーレッド(古代小麦)、有機スペルト小麦、水、塩、自家製酵母
セット内容:
山食ぱん、カンパーニュ、いちじくくるみのカンパーニュ、スパイスカンパーニュもしくはターキーレッドのぱん(古代小麦のぱん)(いずれもハーフ)×各1
※「スパイス」もしくは「ターキーレッド」のどちらかをお選びください。
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ご入金確認後2週間以内に発送予定。
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■熨斗
対応不可