■パンドゥランドネの、「食べるとなんとなく調子が良くなるパン」
(文・立田栞那/スロウ87号掲載)
■祖母との思い出の味を原点に。発酵の力を借りて。
パンとは、とても魅力的な食べ物です。ふっくらとしたフォルム、焼きたての香ばしさ、噛みしめるほど広がる旨み。毎日だって食べたいけれど、たくさん食べると、心なしかお腹が重たくなるような気も…。ランドネ店主・福井明子さんのパンに出合ったとき、そんな小さな悩みが晴れていくのを感じました。
「パンづくりを始めたのは、10年ほど前、息子を妊娠中のことでした。当時から全粒粉を使っていたのですが、その原点は、長崎の祖母が作ってくれた玄米餅。それが大好きで、気がついたら玄米そのものが好きになっていました。味もそうだし、食べるとお腹の調子が良くなる気がして。学生時代も、社会人になっても、妊娠中も、ダイエットや便秘で悩んだら玄米。パンを焼くなら全粒粉が良いと思ったのは、私にとって本当に自然な流れでした」。
こうして始めた、全粒粉のパンづくり。「全粒粉は良いところもたくさんありつつ、精製された小麦よりも消化に時間がかかるという側面もあります。私自身、年を重ねると共に、小麦以外にも食べ過ぎると調子が悪くなるものが増えてきて。そんなときに出合ったのが、広島県でブーランジェリードリアンを営む田村陽至さんの『捨てないパン屋(清流出版)』という本。それを読んで、全粒粉で消化が良く、栄養価も高いパンを作る方法を知って。早速自分のパンづくりに取り入れるようになりました。製法はもちろんですが、田村さんの価値観に惹かれた部分も大きかったです」。
2021年、知人を通じてドリアンのパン工房を訪ねる機会を得た福井さん。そこで一週間ほどパンづくりを教わり、パンの種を分けてもらえることに。その種を大切に継ぎながら、パンを焼く日々が始まりました。
写真上/ランドネのパンは、屋外が似合います。焼いたパンを山へ持って行ったり、ピクニックで楽しんだりと、福井さん自身も楽しんでいる様子です。(写真提供/福井さん)
ドリアンの作り方をベースに、旭川近郊で生産される小麦やライ麦を全粒粉で使って。手がけるのは、「サワードゥブレッド」。自然酵母と穀物由来の乳酸菌の力を借りて、20時間以上かけてゆっくりと熟成させるパンです。「乳酸菌が時間をかけてグルテンを分解してくれるので、消化に優しく、うま味成分であるアミノ酸も増えるんです」。 それは、単においしいだけでなく、食べる人の健やかさを一番に考えた、発酵の理にかなった製法でした。
■暮らしの礎になるようなパンを、大雪山のふもとで。
長崎県出身、札幌育ちの福井さん。社会人になってからは旅行会社の営業職として勤務。転勤族の夫との結婚を機に北海道各地の飲食店やワイナリーでの仕事を経験する中で、「何か自分の事業を持ちたい」という思いを抱くようになります。インバウンド向けの料理体験教室を事業化させようと準備を進めていたタイミングで、世はコロナ禍へ。立ち止まることを余儀なくされてしまいます。
写真上/工房でシナモンロールを仕上げる福井さん。丁寧にテキパキと作業を進めていました。
「当時はかなり落ち込みましたが、どんな状況でも『食べること』は止まりません。改めて食の大切さを実感したとき、それまでに出会った生産者さんたちの顔が浮かびました。彼らが作る素材の価値は、何があっても変わらない。私は農家にはなれないけれど、この素材を活かしたパンを作ることで、誰かの暮らしの礎になれるかもしれない。それは、とても意味のある仕事だと思えたんです」。
こうして、本格的にパン職人を志すようになった福井さん。前述のドリアンとの縁を糧に、自分らしいパンづくりを模索していきました。2022年秋、旭川市内のパン屋の厨房を間借りする形でパンの製造販売をスタート。委託販売や通信販売での営業を続け、2025年春に実店舗をオープンさせました。
拠点を構えたのは、大雪山のふもとのまち、東川町。夫婦揃って山が好きで、中でも大雪山のある風景に惹かれていたという福井さん夫妻。パンの委託販売やイベントなどでも町内に縁があり、「拠点を持つならここが良い」という構想を温めていたそうです。
写真上/工房兼店舗があるのは、東川町の住宅街。パンを抱えて歩く女の子がモチーの看板が目印です。
実店舗がオープンして、この春で1年。「まだまだペースが掴めない部分もありますが、直接顔を見てパンをお渡しできる喜びは大きいですね。暮らしの面でもとても充実しています。町の規模としてはコンパクトですが、文化的な要素がたくさんあるのもうれしいところ。田舎に暮らしながら、歩いてワインを飲みに行ける生活ができるなんて。暮らしている人たちもみんな面白くって、将来が楽しみだなと感じます」。
福井さんが営むパン屋もきっとまた、このまちに彩りを添えていることでしょう。
■目指すのは、「なんとなく調子が良くなるパン」。
オープン後も変わらず、発酵の力を借りたパンづくりを続ける福井さん。目指す方向性について尋ねると、こんなエピソードを教えてくれました。「お客様から、『このパンを食べていると、なんとなく調子が良いの』と言っていただいたことがあって。お腹の調子が良いとか、食べても眠くならないとか、ほど良い量で満足感があるとか。調子の良さっていろいろあると思うのですが、ふと気づいたときに『なんだか調子が良いな』と思ってもらえたら、それが一番。食べた瞬間の驚きよりも、違和感なく身体に馴染むような、そういうパンを焼けたら良いなと思います」。
写真上/「ギュッとした食感のパンが多いので、サイコロ状にして炒め物にすると満足感が得られます。カリッと焼いてたっぷりの野菜と合わせるのも定番です」。写真はいずれもライ麦を使った「ロブロ」を使った料理。(写真提供/福井さん)
写真上/定番の朝食セットにカンパーニュを添えて。トーストでリベイクするのはもちろん、目玉焼きやウインナーを焼いたフライパンでさっと焼くのも手軽でおすすめ。全粒粉を使っている分、食物繊維やミネラルも豊富なので朝から栄養バランスもばっちりです。
写真上/今回、特別にセットに登場するスペルトチョコ。軽くトーストして、スライスしたイチゴとメープルシロップを合わせてみました。イチゴとチョコレートの相性は言わずもがな。スイーツ感覚のひと皿が完成しました。
ランドネのパンは、ハードパンらしいずっしりとした手応えがありながら、食べるととても軽やか。全粒粉由来のミネラルや食物繊維も豊富です。パンは毎日の食卓を支える主食。主食から、日々の調子を整えることができるなら。それはまさに、福井さんが話す「礎になるようなパン」そのものです。
■セット内容紹介
地元で生産された粉を丸ごと(全粒粉で)使って焼き上げる、ランドネのパン。今回は、5 種類のパンを組み合わせたスロウオリジナルセットをお届けします。福井さんによると、「焼き上がりから数日経ったほうが、香りが良くなる(特にルヴァン種のもの)」そう。箱を開けたその瞬間に広がる小麦の香りごと、お楽しみください。
・カンパーニュ(1/4):小麦全粒粉を100%使用。酸味とうま味、全粒粉の香ばしさのバランスが良い定番の一品(写真は1/4カット)。福井さん曰く、味噌汁や漬物との相性も良いのだとか。
・ジャパチーズハーブ(1/2):旭川市のジャパチーズアサヒカワのチェダーチーズとハーブを使った、香り高いパン。ヒマワリの種が入っていて食感が楽しく、トマト料理との相性が抜群。ワインのおつまみにも。
・スペルトチョコ(1/2):スペルト小麦をベースにした生地に、オーガニックチョコチップをたっぷり練り込んで。生地の酸味とチョコ
レートの甘さの組み合わせが絶妙です。
・フロッケンセザムレーズン(1/2):ライ麦ベースの生地に、シード類を練り込み、ゴマをまぶして焼いたパン。白ワインで煮たレーズンが入っています。生地の酸味が控えめ。
・ブリオッシュペイザンヌ(1/2):ほんのり甘みがあるパン。トーストすると発酵バターがふわりと香ります。ジャムやフルーツと合わせるのが定番の楽しみ方です。
■作り手 パンドゥランドネ 福井明子さん
長崎生まれ、札幌育ち。2022年よりランドネとしてパンの製造販売を始め、2025年より東川町にて実店舗をオープン。近郊の食材を使ったシンプルなパンや、ハイキングにぴったりな焼き菓子などを作っています。
■商品詳細
賞味期限:製造より1週間(常温保存の場合)。到着後、冷蔵保存で3週間〜1カ月程度お楽しみいただけます
原材料:
・カンパーニュ/東旭川うけがわファーム春よ恋全粒粉、東神楽吉原農場キタノカオリ、宗谷の塩
・ジャパチーズハーブ/東旭川うけがわファーム春よ恋全粒粉、東神楽吉原農場キタノカオリ、有機ライフレーク、ジャパチーズアサヒカワチェダーチーズ、ヒマワリの種、宗谷の塩、ローズマリー、タイム
・スペルトチョコ/スペルト小麦全粒粉(美瑛町大波農場)、キタノカオリ(東神楽町吉原農場)、オーガニックチョコチップ、宗谷の塩
・フロッケンセザムレーズン/美瑛産ライ麦全粒粉、有機ライフレーク、旭川永山産もち麦、ヒマワリの種、カボチャの種、ごま、ローストアマニ、剣淵産キヌア、EXVオリーブオイル、宗谷の塩、レーズン、白ワイン
・ブリオッシュペイザンヌ/東神楽吉原農場キタノカオリ全粒粉、東神楽吉原農場キタノカオリ、牛乳、大雪なたまご、てんさい糖、発酵バター、宗谷の塩
セット内容:カンパーニュ1/4、ジャパチーズハーブ1/2、ブリオッシュペイザンヌ1/2、スペルトチョコ1/2、フロッケンセザムレーズン1/2×各1
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ご入金確認後10営業日で発送予定。
■熨斗
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