■幕別を拠点に、食養家として新たな一歩を踏み出して。
(文・仰木晴香/スロウ87号掲載)
瓶の蓋を開けた瞬間、甘酸っぱい果物の香りが広がって、胸が高鳴りました。ツヤツヤときらめくジャムをひとさじ食べて、濃厚な味わいにまたうっとり。
ジャムの作り手は、jouetの小島しおりさん。その深い「ジャム愛」を初めて聞かせてくれたのは、本誌57号でのこと。それ以来、私たちスロウ編集部は、小島さんのジャムの大ファンです。
栄養士やフードコーディネーターなど、ずっと食に携わる仕事を続けてきた小島さん。保存食や瓶フードへの関心から、jouetとしてジャムづくりをスタートさせたのは、2016年のこと。清水町内の工房で、何十種類ものジャムを生み出してきました。
そして2025年の秋。小島さんが幕別町に新たな拠点を開いたという、うれしい報せが届きました。その名もtatsumi。喫茶室や料理教室も始めたと聞き、もう一度訪ねてみることにしました。
小島さんが新たな一歩を踏み出すきっかけになったのは、「食養生」との出合い。「栄養士として栄養計算をしながら働いていたとき、いろいろな疑問がありました。数値には表れない体の不調への対処が難しかったり…。それを解決してくれたのが、図書館で読んだ食養生の本だったんです。こんな良い方法があったのか! と驚きました」。カロリーや栄養素だけではなく、食材そのものが持つ性質やエネルギーを活かした食事で、体を整える。そんな食養生の考え方に惹かれ、勉強を始めたという小島さん。今から8年ほど前、ジャムづくりが軌道に乗り始めた頃のことです。
ジャムづくりの傍らで学びを深めるうち、「食養生を伝える仕事がしたい」という思いを抱くように。イベントで食事を提供することから始め、2023年には料理教室を開催。ジャムづくりとは、違った面白さがあったと言います。「栄養士をしていた時にも、料理教室や離乳食教室を開催したことがあって。すぐにリアクションをもらえたり、私が逆に教わったり、そんな交流がすごく楽しかったんです」。
食養家としての活動をもっと深めたい。小島さんはジャムづくりをいったん休み、拠点を 持つための準備を始めることに。そうして出合ったのが、現在の場所です。寿司屋として使われていた築80年の建物は、スペースも十分にある、理想的な空間。座学を交えた料理教室や、気軽 に楽しんでもらえる弁当の販売、喫茶メニューの提供…。小島さんの活動の幅は、グンと広がりました。
■葛藤を乗り越えて自然体で作るジャム。
ジャムづくりも再開させた小島さん。実はジャムづくりに対して、葛藤を抱いたこともあったと言います。「食養生について学ぶほど、何キロもの砂糖を仕入れて作ることに対して違和感が生まれてしまって…。世の中においしいジャムはたくさんあるので、私が作らなくても良いのかな、と考えた時期もありました」。
それでもジャムづくりを続けたのは、ジャムがくれる喜びがたくさんあるから。お世話になっている農家さんから果物を受け取り、ジャムにしてお裾分けすること。食材を保存するための技術をつないでいくこと。旬のおいしさを長く楽しむこと。それらは、小島さんにとってか けがえのないものでした。「保存食を作る上で、砂糖は欠かせないもの。量には気をつけつつ、バランスを上手く取れたら良いなって」。
こうして、また新たな気持ちでジャムづくりを始めた小島さん。レシピをさらにシンプルにし、より果物そのものを味わえるようなジャムを作るようになりました。
食養生で学んだことも取り入れています。たとえば果物は繊維に沿って切ることで、色をきれいに保ち、えぐみのない澄んだ甘さのジャムに。「食材も生きものだから、食材ごとに適切な切り方があるんです」と教えてくれました。
煮込み方もひと工夫。まずは少ない砂糖で下煮をして、ひと晩寝かせて。煮込む時にはなるべく弱い火加減で、ゆっく り、ゆっくりと。時間をかけて 仕上げる作り方は、小島さんが実験の結果辿りついたもの。じ んわりと砂糖を入れていくことで、果物にストレスがかからず、いっそうおいしく仕上がるのだそう。「最初に色がパーッと抜けていって、それから砂糖が入っていくと、また色が戻って濃くなっていく。そしてジャムが一瞬、透明になるんです。まるで日が差すように。その瞬間に、今だ!って仕上げるんです」。なかなか言葉では伝えづらいけれど…とはにかみながら、楽しそうに話す小島さん。ジャ ムづくりを始めて、今年で10年。たくさんのジャムを見つめてき たからこそ、一番おいしくなる瞬間を知っているのです。
この日、作っていたのはレモンとコリアンダーのジャム。ジャムの材料は、農家から直接仕入れています。「ジャムの種類も、15種類ほどに絞りました。なるべく、つながりの深い農家 さんから手に入るもので作りたくて」。積み重ねてきた縁や、自分の「好き」の気持ちを大切に。活動の幅を広げながらも、自然体でジャムと向き合う小島さんがいました。
小島さんのより深まった「ジャム愛」が詰め込まれた、色とりどりのジャム。「おもちゃ」を意味するjouetの名のとおり、手にした人をわくわくさせてくれる、とっておきのジャムです。
■セット内容紹介
シンプルなジャムはもちろん、時にはスパイスを加えたり、 複数の果物を組み合わせたり。工夫を加えた、特別感のあるジャムです。
■作り手 jouet 小島しおりさん(幕別町)
名寄市出身で、夫の転勤を機に十勝へ。保存食に興味を持ったことから、ジャムづくりを始めました。「常温でも長期保存できて、味も時間が経つほどに深まっていく。保存食は、失いたくない技術だと思います」。
■商品詳細
賞味期限: 製造より2ヵ月
セット内容(内容量):ジャム(130g)×2
備考:
※ジャムの種類は選べません。季節に合わせてランダムで2 種類をお届けします(掲載した4 種類は一例です)。
■宅急便60サイズ発送(常温)
※4セットまで同一の送料でお届けします。
■お届けまでの時間目安
ご入金確認後12営業日で発送予定。
■熨斗
対応不可