■新鮮な魚のおいしさを引き出す、波心会の海産物。
(文・仰木晴香/スロウ85号掲載/寒い日は、鍋を囲んで)
漁業が盛んな道東のまち、標津町。オホーツク海に面し、「鮭のまち」として知られてきました。そんな標津町で、自ら獲った魚をおいしく加工し、販売している漁師たちがいます。林強徳さんを中心に結成された、波心会です。
青森県出身で、小学校の頃から標津で暮らしていた林さん。漁師だった父の背中を見て育ち、17歳になった時から漁師として海に出るように。やがて林さんは、漁業の仕組みに対して疑問を感じるようになっていきます。そのきっかけとなったのは、標津の海でよく獲れる魚の一つであるクロガレイでした。「親父が漁師だった頃は、クロガレイを獲ることで生計を立てられていました。けれど段々値段が下がってきて。赤字が続いた時期もあったんです」。浜値(水産物が港で水揚げされた直後、産地市場で最初に取引される価格)と市場価格には大きな差があり、中間業者が入るほどに浜値は引き下げられてしまいます。十分な稼ぎを得られないために、規格より小さな魚を獲ったり、魚を獲り過ぎてしまったりする漁業者も出てきました。
そこで林さんが考えた解決策は、「自分たちで魚を売るシステムを作る」ということ。獲った魚に付加価値を付けて自ら販売することで、漁師が十分な稼ぎを得る仕組みを作る。そうすれば魚を必要以上に獲ることもなく、海の資源も守ることができるのではないか。こうして 2 0 1 8 年、同じ思いを抱いていた浅野将太さん、久保田慶範さんと共に、波心会を立ち上げました。
活動を始めるにあたり林さんが学んだのが、獲った魚のポテンシャルを引き出すための加工技術です。「魚のことをもっと知りたかったんです。獲ることについてはプロかもしれないけれど、魚を見る、触るということについてはそうじゃなかったから」。地元で獲れた自慢の魚を、よりおいしく届けたい。林さんは青森県にある魚屋「塩谷魚店」の塩谷孝さんから、「神経締め」と「仕立て」の技術を、三年間みっちりと学びました。
神経締めとは、魚の死後硬直を遅らせ、鮮度を保つための技術。血を抜き、神経を壊すことで魚の身の劣化を遅らせることができます。さらに林さんたちには、漁師だからこそできる工夫がありました。「魚が海から上がってきた瞬間、つまり水産加工における最初の状態から触れられる。それが僕たちの一番の強みです」と浅野さん。船の上で選別し、水揚げ後は生け簀で休ませ、魚をストレスから解放してうま味を引き出す「活け越し」を。注文に応じて取り出し、神経締めや加工を施していきます。ここまで手をかけられるのも、漁師だからこそ。「魚それぞれに生態や体つきといった個性があって、適切な処理も違う。魚について知ることで、漁師としての魚の触り方や獲り方も改善してきました」。標津の海で獲れた旬の魚を、よりおいしく手当て(下処理)する。波心会が届ける海産物は、高い評価を得ています。
神経締めは、塩谷さんから直接技術を学んだ林さんが担当。漁と加工との両立は大変ではないですか?と尋ねると、「大変だと思ったことはないですね。眠たくなるだけかな(笑)」とさらり。目の前の魚をおいしくすることに、全力を注いでいます。
波心会の加工場。販売を始めるにあたり、元々持っていた倉庫を改装して作りました。魚を休ませる生け簀や、干し魚を作るための装置もあります。
林さんたちが塩谷さんから教わったのは、技術だけではありませんでした。海と魚に対する向き合い方についても、考える機会をくれたのです。「『漁師さんがいるから俺たちの仕事が成り立つし、みんなおいしい魚を食べられる。だから頑張ってくれ』って言ってくれたんです。本当に、心からうれしかったですよ。初めてだったんです、そんなことを言われたのは」。魚の値段が下がり、「魚離れ」という言葉も広がる中で、漁師が必要とされていないと感じたこともあったという林さんたち。塩谷さんの励ましの言葉は、漁師としてありたい姿を思い起こさせてくれました。
その強い決意は、波心会が掲げる五カ条に示されています。
その壱 魚を守り、海を守る
その弐 次の世代につなぐ漁師へ
その参 海と魚を見極める
その四 価値を下げない
その五 『旬』をお届けする
活動を続けて7年。林さんたちの思いに共感する心強い仲間も増えてきました。飲食店で働いていた経験を活かして商品開発に取り組んだり、ここでの体験をきっかけに漁師を志すようになったり。漁業に関心を持つ若者が集まっているのです。
仲間が増えたことで、波心会の活動の幅も広がりました。魚を捌く体験ができるツアーや、子どもたちに漁業について知ってもらうためのイベントの開催、地元高校生とコラボした商品開発…。 2024年には、標津に新たな出会いを生む場として「ゲストハウス潮目」もオープン。その根底にあるのは、「海と魚を人につなげたい」という思いです。「どの活動も、海を知ってもらうきっかけになる。それが100年後のこの海の豊かさを守っていくことにもつながると思うんです。それに、人とのつながりは僕たちの固定概念も壊してくれる。漁師としても、波心会の活動としても、新たな取り組みや挑戦が生まれていて。みんなで、海と魚と人をつなげていけたら」。
海、魚、そして人とまっすぐに向き合い続ける波心会。その取り組みを、これからも応援し続けたいと思います。
■商品紹介
鍋の具材にぴったりな鮭を中心に、自慢の刺身やオリジナルの加工品など8つをラインアップ。特別な日のご馳走にもぴったりです。
・秋鮭:標津の特産品でもある鮭。身はふっくらと軟らかく、うま味たっぷりです。
・ブリの刺身:新鮮なブリを締めて刺身に。漁師の技が感じられます。
・まるつぶ:コリコリとした食感と、濃厚な味わい。ガーリックソテーやアヒージョの具材に。
・ホタテ耳のチャンジャ:食感が楽しいホタテ耳を、特製ヤンニョムに漬け込んで。ご飯のお供にぴったりです。
・タラの胃袋のチャンジャ:独特の歯応えと濃厚な味わいがクセになります。酒のアテにもおすすめ。
・三文カレイの千両漬け:標津の漁師町で愛されてきた、カレイを醤油ベースの甘じょっぱいタレに漬け込んだ一品。
・Fishboo:カレイのすり身を使った魚肉ソーセージ。やさしいうま味が広がります。
・野菜とかじかの漁師ふりかけ:未利用魚であるカジカを活用したふりかけ。パスタやお茶漬けなどにも合います。
■作り手 波心会(標津町)
後列4人(右から浅野将太さん、林さん、林佑妃さん、久保田慶範さん)が「波心会」、前列の3人が若手メンバーで結成された「チーム波心海」。それぞれの得意分野を活かし、幅広い活動を行っています。
■商品詳細
賞味期限:発送より冷凍で6ヵ月
原材料:
・秋鮭/鮭(北海道標津産)
・ブリの刺身/鰤(北海道標津産)
・まるつぶ/丸つぶ(北海道標津産)
・ホタテ耳のチャンジャ/ホタテ耳(北海道産)、唐辛粉、食塩、ごま、にんにく、しょうが、みりん、酒、ごま油、カジカ節/調味料(アミノ酸)、パプリカ色素、増粘剤(一部に小麦を含む)
・タラの胃袋のチャンジャ/真鱈胃袋(北海道標津産)、唐辛粉、食塩、ごま、にんにく、しょうが、みりん、酒、ごま油、カジカ節/調味料(アミノ酸)、パプリカ色素、増粘剤(一部に小麦を含む)
・三文カレイの千両漬け/マツカワガレイ(北海道標津産)、醤油(小麦・大豆を含む)、みりん、水あめ、果糖ぶどう糖液糖、昆布エキス、醸造酢、小麦発酵調味料(大豆を含む)/アルコール、調味調(アミノ酸等)、酸味料、ビタミンB1
・Fishboo/カレイ(北海道標津産)、豚肉(北海道産)、塩、砂糖、香辛料
・野菜とかじかの漁師ふりかけ/焼きいりこ(国内製造)、砂糖、かじか(北海道産)、でん粉、ぶどう糖、醤油、食塩、ポテトフレーク、ごま、ニンジンフレーク、麦芽糖、乾燥卵黄、デキストリン、のり、鰹節粉末、カボチャフレーク、ホウレンソウフレーク、発酵調味料、ほうれん草粉
末、混合野菜粉末、抹茶、酵母エキス、スピルリナ粉末、あおさ、グリーンピース粉末、ゴボウ粉末、レンコンパウダー、乾燥小松菜粉末、椎茸粉末/調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、着色料(カラメル、カロチノイド、クチナシ、紅花黄)、酸化防止剤(V.E)、甘味料(カンゾウ、ステビア)、(一部に卵・小麦・大豆・ゼラチン・ごまを含む)
セット内容(内容量):秋鮭の切り身(100〜130g)、ブリの刺身(50g)、まるつぶ(100g)、ホタテ耳のチャンジャ(100g)、タラの胃袋のチャンジャ(100g)、三文カレイの千両漬け(80g)、Fishboo(150g)、野菜とかじかの漁師ふりかけ(25g)×各1
■宅急便60サイズ(冷凍)
2セットまで同一の送料でお届けします。
■お届けまでの時間目安
ご入金確認後5営業日で発送予定。
■熨斗
対応可
対応可能な熨斗は以下の通りです。ご希望の方は備考欄に記入してください。
・祝いのし紅白蝶結び
・祝いのし10本紅白結びきり
・祝いのし5本紅白結びきり
・仏のし黒白結びきり
・仏のし黄白結びきり
・シール お中元
・シール お歳暮