■彫り跡が美しい、漆塗りのお椀。
工房があるのは旭川市の郊外。田園風景の中にぽつんと佇む建物には、丸太や木材、赤や黒に塗られた器が所狭しと並んでいます。木工作家の瀬戸晋さんは、この地で20年以上にわたり制作を続けてきました。
大阪府出身の瀬戸さんは、大学進学を機に北海道へ。卒業後に旭川高等技術専門学院で木工を学び、1995年に作家として独立しました。小さな頃からものづくりが好きだったと話す瀬戸さんですが、木工に強く惹かれたのは高校時代のある体験がきっかけでした。
写真上/木材をろくろで挽いた後は削る工程へ。「力を入れやすくなるから」と、顎に体重をかけながら、ひと彫りずつ丁寧に削っていきます。滑らかな仕上がりにするため、木の繊維の向きを考えて削るなど、細やかな点にも気を配っています。
「京都の『進々堂』というカフェを訪ねたとき、人間国宝の黒田辰秋さんが手がけた漆塗りの机が置いてあったんです。180センチはある立派な長机で、作られて数十年も経つのに、まったく年月を感じさせませんでした」。
写真上/作品に使用している漆。チューブに入っているときは薄いベージュ色ですが、空気に触れると徐々に濃い茶色に変化します。
その出合いに心動かされ、自らも漆の道へ。瀬戸さんにとって漆と木工は切り離せない存在となりました。家具でも器でも、仕上げには必ず漆を施しています。「専門学校では家具を学びましたが、漆や器づくりはほぼ独学なんです。遠回りをしたなと思うこともあるけれど…」と話す瀬戸さんですが、その試行錯誤の積み重ねこそが、独自の表現を育んできました。
たとえば、瀬戸さんの代表的な作風ともいえる表面の削り跡。器づくりを始めた当初、苦手だったろくろ挽きの跡を隠すために始めた手法なのだそう。顎を器用に使い、体重をかけながら、ノミで丁寧にひと削り。全体を削った後に漆を塗ると、表面に艶が生まれ、まるで宝石のようなきらめきを見せてくれます。
写真上/ノミはリサイクルショップなどで調達することも。持ち手が使いづらい場合は自作でリメイクしています。
丸太の製材から一貫して手がけるため、手間はかかりますが、「淡々と作っていますよ」と瀬戸さんは話します。「あまり気合いを込めると、物自体が重くなってしまうような気がして。ピカソのように、絵が上手い人がふっと線を描くと、それだけですごく良い線になるでしょう? そんなイメージで作りたいですね」。作り手の力みが作品に滲まないように。あくまでも自然体のものづくりを心がけています。
確かに瀬戸さんの器には、上質な雰囲気の中にも、気取らず使える懐の深さも感じられました。「何をよそっても大丈夫ですよ」との瀬戸さんの言葉どおり、汁物や煮物、鍋料理など、どんな料理にもよく合います。日々の食卓でこそ使いたくなる器です。
■商品詳細 高台付き 大
刃物で削り出した面が、光を受けると宝石のようにキラキラと反射します。持ちやすい手触りもポイントです。
写真左が「高台付き・大」のデザイン。ゆったりとしたサイズ感で、鍋料理など具だくさんのお椀にもぴったりです。使えば使うほど艶が出て風合いが増します。
■作り手 瀬戸晋さん(旭川市)
大阪府出身。旭川高等技術専門学院で木工を学んだ後、1995年に独立。北海道産を中心とした木材を使い、丸太の製材から加工、漆塗りまで全工程を一人で行っています。
■商品詳細
商品サイズ:口径約13×高さ約8.2cm
商品素材:道産樹種 各種
※手づくり品のため、掲載写真とは多少異なる場合があります。
※在庫状況により、お届けまでに時間をいただく場合があります。
備考:
・電子レンジ、食器洗浄機、乾燥機のご使用はお控えください。
・やわらかい布やスポンジを使い、食器用中性洗剤で優しく洗ってください。洗浄後は水切りカゴで自然乾燥させてください。
■宅急便60サイズ発送(常温)
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■熨斗
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