■和食の技を詰め込んで �爐茵爾い瓦呂鶚�
(取材・文/猿渡亜美 スロウ77号掲載)
保存食としてだけではなく、普段の食卓を彩る品の一つとなって久しい缶詰。陸別町で開発された「よーいごはん」は、混ぜご飯の素を缶詰にした商品です。陸別町といえば、隣町の足寄町や津別町、置戸町からはいずれも車で30分ほど離れており、町名をもじって「陸の孤島」と言われていたこともあるほどの小さな田舎町。ですがこの缶詰は、2019年に発売開始した後、現在は月4千個を製造するほどのヒット商品となっています。生み出したのは、町で唯一の旅館である浜田旅館です。

3代目として旅館を経営しながら、よーいごはんを開発した濱田正志さん。札幌や東京の料亭で和食の腕を磨き、10年ほど前にUターン。「30歳になったら、陸別に戻て家業を継ぐ」と父と約束を交わしていたためです。町内には旅館だけでなく飲食店も少なく、宴会を依頼されることもしばしば。濱田さんは料亭で培った腕を活かして、町の中での存在感を高めていきました。
■始まりは、ひと味違う鹿肉の加工品を求めて。
帰郷から7年ほど経ち、旅館の仕事にも慣れた頃、町から「特産品を作ってほしい」という依頼がやって来ます。指定された素材は鹿肉。濱田さんは「鹿肉の加工品ってどこも同じようなものばかり。比べられないような商品を作りたかった」と振り返ります。鹿肉加工品の王道であるジャーキーやジンギスカンは、陸別でもすでに商品化されていました。だからこそ違った角度で商品を考案することにしたのです。
濱田さんが注目したのは、陸別ならではの鹿肉の特徴。「陸別の鹿肉って不思議と臭くないんです。これは持論ですが、畑作が盛んではないから、シカが食べるものも異なる。だから匂いがあまりしないのではと思っています」。陸別の基幹産業といえば酪農です。マイナス30度になるほどの極寒地域のため、畑作には向きません。北海道のシカは畑の作物も食べており、それが鹿肉の味に影響を与えているのでは、という考え方です。真偽は定かではありませんが、陸別の鹿肉にあまり臭みがないのは事実。実際に塩のみで味を付けた陸別産鹿肉のコンビーフを食べさせてもらいましたが、驚くほど臭みがないのです。濱田さんの考え方も一理あるのかもしれません。その鹿肉に加えて、同じく町内で採れたフキを混ぜて、和食風の味つけをほどこすことで、第1作となる「エゾ鹿&北海道産フキ」が完成しました。
■工業化せず、手づくりにこだわって。
今では年間5万個を製造するヒット商品となったよーいごはんですが、最初から売れ行きが良かったわけではありません。発売当初は「秘境めし」というネーミングで売っていました。でも商談会に行くと、バイヤーから「味はおいしいんだけどね…」と言われ続け、商談成立にはつながりませんでした。「いくら味が良くても、デザインが良くなければ手に取ってもらえない」と気づいた濱田さん。開発から2年ほど経った頃、札幌のデザイナーにリブランディングを依頼。名称を現在のよーいごはんに変え、カラフルで楽しげなデザインにモデルチェンジしました。もとより味には自信のあった商品です。デザインの力でバイヤーなどの目に留まることが増え、道外を中心に取り扱い店が次々と増えていきました。濱田さんは波に乗り、次々と新しい味つけをリリース。毎年、2種類以上の新味を開発し続けています。

蓋を開けるとまず目に入るのが、サケや鶏肉、鹿肉といったメインの具材。最初に大きな具材を目にして、「おっ!」と喜びの声を上げてもらうための仕掛けです。メインの具材の下には、北海道産の山菜や野菜が詰まっていて、とにかく具だくさんという印象を抱きます。
味つけの基本は醤油、みりん、砂糖。そして昆布だし。和食の基本の調味料を使い、添加物はほとんど使わずに作っています。濱田さんは「添加物は簡単に味がまとまって良いのですが、和食ですから、しっかりだしをとれば素材の味と調味料だけで充分おいしくなりますよ」と自信たっぷり。需要が増えてからも手づくりにこだわり、毎日200個を作るのが限度なのだとか。工場を作って機械を活用したらもっと生産することはできますが、今のところ予定はありません。「工業化してしまうと、料理ではなくなってしまうから」。繊細な味つけが求められる一部の種類は、今も濱田さんが最終チェックを行っています。
写真上/鶏肉やサケなどのメイン食材が一番上になるように具材を詰め込みます。具材は大きく、ゴロゴロという擬音がぴったりです。
食卓の主役になる北海道の混ぜご飯。種類は8種類まで増えました。「今日はどれを食べようか」という会話から始まり、蓋を開けて具材の大きさに驚き、炊きたてご飯に混ぜてみて、おいしさに再び驚く。陸の孤島から生まれたアイデア商品は、日々の食卓を豊かにしてくれることでしょう。
■商品紹介
・エゾ鹿&北海道産ふき
自家製かつおだしを使用。クセのない鹿肉とフキをうっすら甘めに煮込んでいます。

・十勝野ポークしょうが仕立て
十勝野ポークにショウガと油揚げを混ぜました。ショウガの香りが食欲をそそります。
・十勝産コーン&北海道ホタテ&バター
トウモロコシと相性の良いホタテの混ぜご飯。バター醤油が効いていてご飯が進みます。
・北海道産サケ&羅臼こんぶ
羅臼昆布のオリジナルスープに油揚げとゴマを合わせて。サケが1切れ入っています。

・知床どり&羅臼こんぶ
知床どりとフキをうま味たっぷりの昆布だしで煮込みました。あっさりとした味わいです。

・豚丼風十勝野ポーク使用
ゴロゴロとした挽肉と玉ねぎを甘めのタレで煮込みました。十勝名物・豚丼の味つけです。
■作り手 浜田旅館(陸別町)
よーいごはんの生みの親である濱田正志さん。20代の頃は懐石料理を得意とする料亭で修業を重ねました。2010年、30歳でUターン。2019年に代表取締役に就任しています。
■商品詳細
賞味期限:製造より常温で3年
内容量:1個200g
セット内容:エゾ鹿&北海道産ふき、北海道産サケ&羅臼こんぶ、十勝野ポークしょうが仕立て、知床どり&羅臼こんぶ、十勝産コーン&北海道産ホタテ&バター、豚丼風 十勝野ポーク使用×各1
原材料:
・エゾ鹿&北海道産ふき:鹿肉(北海道産)、ふき、ごぼう、人参、醤油、砂糖、みりん、鰹削り節、昆布 (一部に大豆・小麦を含む)
・十勝野ポークしょうが仕立て:豚肉(北海道産)、玉ねぎ、醤油、みりん、砂糖、鰹削り節、昆布 (一部に大豆・小麦・豚肉を含む)
・十勝産コーン&北海道ホタテ&バター:カーネルコーン(とうもろこし(北海道産)、ホタテ(北海道産)、醤油、みりん、砂糖、バター(生乳・食塩)、鰹削り節 (一部に大豆・小麦・乳成分を含む)
・北海道産サケ&羅臼こんぶ:鮭(北海道産)、油揚げ(丸大豆、植物油)、人参、生姜、胡麻、昆布スープ(昆布ペースト(北海道製造))、食塩、蜂蜜、鰹節エキス、ホタテエキス、調味料(アミノ酸等)(一部に小麦・大豆・さけ・ごまを含む)
・知床どり&羅臼こんぶ:鶏肉(北海道産)、ふき、人参、椎茸、胡麻、昆布スープ(昆布ペースト(北海道製造))食塩、蜂蜜、鰹節エキス、ホタテエキス、調味料(アミノ酸等) (一部に小麦・大豆・鶏肉・ごまを含む
・豚丼風十勝野ポーク使用:豚肉(北海道産)、玉ねぎ、醤油、みりん、砂糖、鰹削り節、昆布 (一部に大豆・小麦・豚肉を含む)
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