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■北海道産エゾマツに技術の粋を詰め込んで。
（文・片山静香／スロウ72号掲載）
伊達市大滝地区の森に囲まれた工房で、北海道産エゾマツを使った曲げわっぱの弁当箱を作っている、工房夕花野の石垣純枝さん。2011年に置戸町のオケクラフト作り手養成塾に研修生として入塾。そこから10年間にわたって曲げわっぱの弁当箱作成に携わり、2021年8月に伊達市に移住しました。
弁当箱づくりに使っているのは、北海道産のエゾマツ。置戸にいた頃に手に入りやすい素材であった上に、「他にはないものづくり」ができると考えて採用しています。本州などの曲げわっぱの産地で一般的なスギやヒノキなどの材に比べ、エゾマツは曲げの加工をするのに不向きだそうです。しかし、「他と同じものを作っても意味がない」と、あえて北海道で、しかも地元の素材を使った曲げわっぱに挑戦しているのです。
薄く切り出した木の板を茹でるなどして柔らかくし、少しずつ形づくっていく曲げわっぱ。作り始めた当初から技術を教えてくれる先達がいなかったため、純枝さんはほとんど独学で技術を研鑽してきました。「作っては捨て、作っては捨てていました。本当に辛かったですが、意地もあったのかもしれません。やめませんでしたね」。今でも、木の個体差によって曲がりやすさが大幅に変わるため、作業中はそれぞれの板の状態に神経を集中させます。通常オケクラフトの研修は2年間だそうですが、純枝さんの場合は3年間かかり、ようやく商品化に漕ぎ着けました。発売当時に購入してくれた方とは、今なお交流が続いているそうです。「一度使ってみると使い心地の良さに気づいていただけるのか、ほとんどの方がリピーターになってくれるんです」。
夕花野の弁当箱は、内側に食品安全基準に則ったウレタン塗装が施してあるため、調味料などの水分や油分が染み込まず、取り扱いが非常に容易です。「醤油やケチャップが付いても着色しないんですよ」と教えてくれたのは、純枝さんの夫である拓也さん。拓也さんも純枝さん同様、オケクラフト作り手養成塾の卒業生です。ろくろを使ったお椀やボウル、皿などを専門としています。
「伝統工芸が産業化されていない」北海道だからこそできる、自由な技術の表現方法を模索する純枝さん。そして、良きパートナーとして彼女を支えつつ、自らもものづくりに生きる拓也さん。伊達に来て1年弱。まだまだ工房も未完成で、少しずつ制作量を増やし始めている段階。置戸のときとは違うルートでの木材の仕入れにも、苦労しながら取り組んでいます。人と関わることが好きだからと、今後「外に出て売る機会」も大切にしていきたいのだと話します。
シンプルで実用性にも優れたお弁当箱には、新しい北海道らしさ、そしてこの先に繋がる可能性が、たっぷりと詰まっているように感じられました。
■作り手 工房夕花野（伊達市）
石垣純枝さん、拓也さん夫妻。純枝さんが曲げわっぱの弁当箱づくり、拓也さんがろくろを使った挽き物を担当しています。2人とも、置戸町のオケクラフト作り手養成塾の卒業生。現在は伊達市大滝地区の深い森が広がるところで、黙々と制作に励みます。
■商品詳細
≪楕円（小）≫
小判（中）よりほんの少し小さめ。スリムな形状で、マチの短いビジネスバッグなどに入れる際に便利。
商品サイズ：長径約17�僉瀉桟駄�9�僉濆發橘�5.5��
容量：約360��
商品素材：北海道産エゾマツ、ウレタン塗装（食品安全基準適合）
※手づくり品のため、掲載写真とは多少異なる場合があります。
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■お届けまでの時間目安
ご入金確認後5営業日以内に発送予定。
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■熨斗
対応不可
