■木の個性を一番大事に。森のキツネのわがままcutlery
(文・立田栞那/スロウ71号掲載)
人それぞれ、性格や好きなことが異なるように、木にも個性があるものです。木目の模様や曲線一つとっても実にさまざま。わがままカトラリーは、木材の個性を最優先した作品です。
木材の曲線に沿って材を切り出すため、持ち手の部分が右に向いたり、左に向いたり。その向きに合わせて、右利き用なのか左利き用なのか、あるいは両利き用なのかが決まります。人の手に合わせて作るのではなく、木の都合に人が合わせるか「わがまま」カトラリー。木と向き合い、その個性を大切にしてきた河野文考さんならではの、家具職人らしい発想です。
河野さんが目指すのは、不特定多数ではなく、個人に向けたものづくり。今回の作品についても、「スプーンもフォークも、全く同じ形のものは一つもない。だからこそ、自分の手にしっくり馴染むものに出合ってもらえたら、本当にその人だけのものになるなと。そういう楽しみを感じてもらえたらうれしいです」と話します。
カトラリーを眺めていると、凛とした森の空気を感じるのは、持ち手の部分に内樹皮が残されているから。河野さんによると、内樹皮がきれいに残っている木材は少ないそうですが、できるだけ色と形がきれいに残っているものを選んで使っているそうです。
金属のカトラリーと同じ使いやすさを。
木製品ならではの温かい雰囲気は何とも良いものですが、使い勝手を考えると金属製のほうが良いのでは…と思ってしまうこともしばしば。「木製品は、強度を高めるために厚みが出てしまいがち。でもこのカトラリーは、食べ物をすくう部分のカーブを深くすることで強度は高く、金属製のものと同じ程度の厚みに仕上げることが出来ました」。河野さんが言うとおり、厚みは薄く、手に持った感じも心なしか軽やかです。
熱がゆっくり伝わる木のカトラリーは、アツアツのスープや、冷たいデザートを食べるときにもぴったり。口に運ぶ際、熱さや冷たさを和らげてくれます。
気になるお手入れについても、それほど慎重になる必要はありません。使用後は長時間水に浸けたりせず、柔らかいスポンジで洗い、水気を拭きとってください。使ううちに、表面が白くカサカサとしてきたら、やすりをかけてクルミオイルなど自然由来のオイルを塗りましょう。手をかけていくごとに、愛着が深まっていきそうです。
下川町の木材を使って、土地ならではのものづくり。
2022年の春、雪解けの季節に下川町を訪ねると工房には、今日も木と向き合う河野さんの姿がありました。河野さんが下川町一ツ橋地区に拠点を移してから、約5年半。地域に残されていた元診療所を自らの手でリノベーションし、工房兼ギャラリーを作ってきました。
「ここに置いてある木材は、すべて下川町産のものです」。工房の一角、立派な木材が立てかけられているスペースの前で、河野さんが教えてくれます。わがままカトラリーに使われているのも、すべて下川町産のナラ材。普段は「その時々で手に入った樹種の材」を使っているため、ギャラリーにはいくつかの樹種のカトラリーが並びます。今回はその中から、どことなく硬派な印象を受けたナラ材に限定してお届けすることに。実際の材質も硬めで、耐久性に優れた材です。
木の都合を最優先した「わがまま」なカトラリーですから、木目はもちろん、持ち手の角度もそれぞれ絶妙に異なります。下川町から届く一点モノとの巡り合わせを楽しみにしていただけたら幸いです。
■作り手 森のキツネ(下川町)
埼玉県出身の河野文孝(やすゆき)さん。2013年に愛別町で「森のキツネ」として独立し、2016年に下川町へ。元診療所を改装した建物で、オーダー家具やクラフト品を製作しています。
制作の過程については、Youtubeチャンネル「森のキツネ」でも公開されています!
■商品詳細

(写真上/持ち手の内樹皮の向きによって、右利き・左利き・両利き用が決まります。オプションでお選びください)
商品サイズ: 縦約19cm×幅約3cm
商品素材: ナラ材
備考:
※手づくり品のため、掲載写真とは多少異なる場合があります。
※右利き、左利き、両利きのいずれかを選択してください。
■レターパックライト発送(常温)
■お届けまでの時間目安
ご入金確認後16営業日で発送予定。
※在庫がない場合、時間をいただくことがあります。
■熨斗
対応不可