札幌市北区、生活するには少し不便に感じる変わったつくりのアパートで、「Savon de Siesta」の石鹸は生まれます。スタッフがアトリエと呼ぶ、その工房のオーナーが附柴彩子さん。手作り石鹸工房「Savon de Siesta」の代表として、商品開発から販売までを手がけるバイタリティ溢れる女性です。附柴さんが石鹸を作り始めたきっかけは、市販の化粧品を使用した際に起こる肌荒れ。とくにひどい症状に悩まされた学生時代に、「これなら私にも作れそう!」とたまたま目にした手作り石鹸のレシピ本を手に取ったことから全てが始まりました。当時は北海道大学理学研究科に在籍、そこで得た化学の知識を活かして自分のために石鹸作りを始めるのです。
専門分野は、合成界綿活性材の研究。主に洗剤の洗浄成分になるもので、油と水を混ぜる役割を果たします。じつはその働きを持つのは石鹸も同様ですが、原料は違って石鹸の場合は植物性オイルから、合成界面は石油などから科学的な処理をして作られるそうです。天然か合成かの違いはあれど、このタイミングでの出会いには巡り合わせの妙を感じずにはいられません。安心をウリにするSiestaの石鹸は、附柴さんの正確な化学の知識というバックグラウンドがあればこそなのです。
ところで、附柴さんの出身地は茨城県。北海道大学入学を機に北海道へ渡りますが、就職の為に一度北海道を離れます。しかし6年間を過ごした北海道での暮らしが忘れられず、勤めていた製薬会社を退職して再び北海道へ舞い戻ります。「北海道が好きなんです。自然がいっぱいあるところや、暖かくて優しい人たちが。上手く伝えられませんが、北海道の雰囲気すべてが好きなんです」。
そういう附柴さんが放つ空気感こそが、北海道の大地を思い起こさせる温もりと優しさに満ちたものでした。(の)