実は、大学で畜産の勉強をしていた時に、ポロニ養鶏場で実習させてもらったことがあった。
たった1日だけの実習だったけれど、ニワトリの餌を配合し、水を運び、鶏舎の周りの草を刈り…大木さんの後ろを付いて歩きながら、畜産の現場を肌で感じることができたのを覚えている。
それから5年、まさか取材という形で大木さんを訪ねることになるとは。再会の時、「つなぎ着て草刈ってた姉ちゃんから、まさか名刺をもらうようになるとはなぁ~」と大木さんは笑った。
私はポロニ養鶏場の他にも様々な農場や牧場で実習したけど、全て同じ飼育方法で行なっている場所は1件もなく、それぞれが自信と誇りを持ち、またその技術が外部に漏れるのを嫌がるところもあった。
だからポロニ養鶏場を取材させてもらうことになった時、飼育方法について細かく取材できるかどうか、不安だった。
けれど、大木さんは包み隠さず、全てを教えてくれたのだ。
そして最後に大木さんが強調したのは、
「結局、この10年間の試行錯誤の中で一番わかったことは、他人の真似だけではやっていけないってことなんだよ。
いくら本を読んだり、話を聞いて真似てみても、環境や状況が全く違うから、自分で方法を見つけていくしかないんだ。
そして何より大切なのは、その生き物の反応を受け止める感受性。
その感性だけは自分自身のものだから、誰からも教わることはできないんだ」
ということ。
・・・ん? これは、飼育方法に限らず、何事に対してもいえることではないだろうか? 情報が数多に溢れる現代の生活では、何が最良なのか、見失うことが度々ある。
そんな時、結局最後の決めてとなるのは自分自身の感性だろう。
それは、自分が最も信頼できる指標なのだ。(な)