栗山町に流れる夕張川。その近くに畑を持つ水上農園は水上勝敏さんと由美子さんが営む長ネギや小麦の農家です。数年前までは自家で生産したものは全て農協に卸すのみでしたが、「自分で生産したものに自分で価値をつけて売りたい」と考え、由美子さんの特技を生かした農産物加工のための施設「農家の手作り菓子工房つくしんぼう」を起ち上げました。 由美子さんが作るお菓子の中でも、クッキーは7年間作り続けているロングセラー。人気の秘密はどこにあるのかと探ってみると、それは自身が食べ物を生産する農家だからこその使用原材料の厳選にありました。
工房つくしんぼうの商品パッケージに見られる北海道を模ったオレンジ色のマークは、道産食品登録制度(※)によって道産食品に認定されているという証。つまり、クッキーの主原料の全てには地元市町村のもの、または道産のものが使用されているということです。 小麦と米は栗山産の「ホクシン小麦」と「ゆきひかり米」を工房の製粉機で粉にして使い、バターと砂糖は道産のものを仕入れ、ゴボウ、かぼちゃ、ビーツはクッキー専用に自家栽培。卵にいたっては、このクッキーのために鶏を飼い始めたというほどの徹底ぶり。 ただひとつ誤解しないでいただきたいのは、由美子さんと勝敏さんは登録条件を達成するために原材料を選んだわけではないということ。制度が設けられたのは工房を起ち上げた後。クッキーは当初から道産素材のみを選んで作られていました。「たまたま新聞でこの制度の開始を知ってね。何か付加価値をつけたいと思ってちょうど模索していたときだったんだよね。うちのクッキーなら十分クリアできる条件だったから」。 登録によって仕入れルートを変更するなど多少の措置の必要はあったものの、勝敏さんと由美子さんの根本的なポリシーは何ら変わりません。自らが汗水流して生産したものに全うな価値をつけて消費者に届ける。水上農園のクッキーはその体現なのです。